核酸認識系Toll-like receptorの応答制御に関する新規分子の解析

福井 竜太郎
(東京大学医科学研究所 病因・病理学専攻 助教)

2014年11月28日金曜日

久々の投稿です。こんなことしておりました。その1。

面目ないことに、しばらくブログの更新を忘れておりました。
最後に更新したのが「免疫ふしぎ未来」の前くらいなので、今年の夏と秋は何をやっていたの?という感じですね。
もちろん研究生活をサボっていたわけではなく、いろいろと仕事をしておりました。
残念ながら、諸般の事情で実験はあまりできていなかったのですが・・・。


まず、9月の前半には共同研究の打ち合わせとセミナーのため、スロヴェニアへ行って参りました。
私の研究室のボスとスロヴェニアのNational Institute of ChemistryのRoman Jerala教授がコラボレーションをしていて、その打ち合わせですね。
私が「今度スロヴェニアへ行ってくる」と言うと大抵の人は「スロヴェニア?それはどこ?スロヴァキア?」という反応でしたが、たしかにあまり馴染みはないかもしれませんね。
もちろんスロヴァキアは別の国で、スロヴェニアは東欧にある旧ユーゴスラヴィアの小さな国です。



写真は首都のリュブリャナで、旧市街地からリュブリャナ城を撮ったものです。
曇り空でイマイチな写真ですが、キレイで治安も良く、食べ物が美味しい素敵な国でした。



ここがNational Institute of Chemistryです。
駐車場には、この研究所で開発した電気自動車が停まっておりました。
雰囲気が医科研となんとなく似ています。
研究所の雰囲気というのは、どこの国でも同じようなものなのでしょうかね?



2日間ほど研究所の食堂で昼食をとったのですが、イタリアの西に位置しているのでニョッキやパスタ、シーフードなどもよく食べられているようです。

なんだかあまり華のある写真を紹介できなくて残念ですが、個人的にはスロヴェニアがとても気に入りました。
滅多に行く機会はないかもしれませんが、ドイツから飛行機で1時間程度なので、ヨーロッパに旅行した時にはぜひ足を伸ばしてみることをオススメいたします!

2014年8月6日水曜日

免疫ふしぎ未来

8月に入って、とても暑くなってきましたね。
そろそろ夏休みを取られる方も多いのではないでしょうか。

夏といえば免疫の夏(?)。
今週末の日曜日、お台場の日本科学未来館にて、日本免疫学会が主催する「免疫ふしぎ未来2014」が開催されます。
http://www.jsi-men-eki.org/general/mirai.htm

いわゆる「アウトリーチ活動」でして、一般向け、子供向けに免疫の仕組みを紹介する企画です。
私は特に話したりするわけではないのですが、パネル説明などのお手伝いをすることになっています。
本物の細胞染色標本や寄生虫なども展示されており、なかなか見応えがありそうです。

「免疫ふしぎ未来」は毎年とても好評で、立見が出るほどのトークもあるそうですよ。
来週も仕事があって、今週末は遠出できないな・・・という方、ちょっとお台場まで来られませんか?

2014年7月25日金曜日

遺伝子改変マウスができました?

先日、遺伝子改変マウスを作るためにES細胞を培養して・・・ということを書きましたが、本日ようやく遺伝子改変マウスを受け取ることができました。
これできっと研究も進む・・・と思いたいのですが、まだまだ気が抜けません。
今回は、どのようにして実験に使える遺伝子改変マウスを得るのか?ということを書きます。
少しわかりにくい部分があるかもしれませんので、その場合は遠慮なくコメントで質問して下さい。

今のところ、マウスは「キメラマウス」と呼ばれる状態で、ES細胞由来の細胞(変異アリ)とシストブラスト由来の細胞(変異ナシ)が混ざっているようなマウスなのです。
すなわち身体の一部は遺伝子に変異があり、その他の部分は変異がない状態でして、これでは研究ツールとして使い物にならないのです。
特定の種類の細胞のみに変異が入っている、というような状態ならば良いのですが、キメラマウスの場合は特定の細胞を選んで変異を起こす、というようなことができません。
そうなると、全身の細胞に遺伝子変異が入っているマウスが必要になるのですが、そのためには運と技術が必要です。

これから行う作業としては、キメラマウスと野生型のマウス(遺伝子変異のないマウス)を交配させて、仔マウスを得ることが最優先となります。
もしキメラマウスの生殖細胞がES細胞由来であれば、仔マウスは全身の細胞に遺伝子変異を持つことになりますので、実験に使うことができるようになります。

ただし、哺乳類は母親由来の遺伝子と父親由来の遺伝子を持っているので、この状態では半分しか遺伝子変異が入っていない状態です(「ヘテロ遺伝子型」といいます)。
ヘテロ遺伝子型のマウス同士を交配させて、両方の遺伝子が変異を持っている状態にする必要があります(「ホモ遺伝子型」といいます)。
このようなマウスが産まれて初めて、研究に使うことができるのです。

さらに悲しいことに、こうして苦労してマウスを作っても、何の結果も出ないことがあります。
細胞単位で見られた現象が生体になると見られなくなってしまう、ということはよくある話でして、ある意味では生命科学の面白さなのですが、研究者にとっては頭の痛い問題です。

なお、この一連の作業にかかる日数ですが、最短でこんな感じです。
・変異の入ったES細胞を得るために1ヶ月
・シストブラスとへの注入からキメラマウスが産まれるまで1ヶ月
・キメラマウスが生殖可能になるまでに6週間
・ヘテロ遺伝子型のマウスが産まれるまでに1ヶ月
・ヘテロ遺伝子型のマウスが生殖可能になるまでに6週間
・ホモ遺伝子型のマウスが産まれるまでに1ヶ月
・実験に使えるようになるまでに数週間以上(場合によっては1年くらい)

とういわけでして、うまくいったとしても半年以上もかかってしまうのです。
しかもヘテロ遺伝子型のマウス同士を交配させてホモ遺伝子型のマウスが産まれるのは1/4の確率、母親マウスが産む子供の数は10匹前後なのでホモ遺伝子型のマウスは2匹程度しか得ることができません。
最近は技術が発達して、いきなりヘテロ遺伝子型のマウスを得ることができるようになりましたが、それでも3ヶ月以上かかるわけでして、生き物相手の研究は実に時間がかかります。

最近は研究に対してスピードが求められる時代であり、そのような風潮の中で少々言い訳がましいところもあるのですが、殊に生命科学系の研究については長期的な視点で温かく見守って下さると嬉しいです。

2014年6月14日土曜日

ES細胞の培養

骨折した腕もだいぶ治ってきたので、本腰を入れて実験を再開しております。
今週は遺伝子改変マウスを作製するためにES細胞を培養したりしておりました。
ES細胞は幹細胞の一種で、様々な細胞や臓器、または個体になる能力を持っている細胞です。最近はiPS細胞の方が有名でしょうか?

幹細胞の研究ではES細胞そのものを研究対象にしたりしますが、
私は免疫学が専門なので、ES細胞は遺伝子改変マウスを作製するための道具として使っています。
今は本研究助成のテーマである新規分子の役割を解析するため、その遺伝子が無いマウスを作ろうとしているのですが、以下のような手順で行っています。

まず、ES細胞の遺伝子を欠損させます。
欠損されたことを確認した後、マウスのシストブラスト(胚盤胞。受精卵がもう少し育ったものです)にES細胞を注入し、仮親マウスの子宮に戻してやると、遺伝子が欠損したES細胞に由来するマウスが産まれてくるのです。
こう書くと簡単にできてしまうように思えますが、実際はとても大変です。
ES細胞は頑丈で増えやすいのですが、ある意味ではデリケートなので毎日世話をしてやらねばなりません。
したがって、ES細胞を扱っている間は無休です。
色々と疲れますが、新規分子の機能解析のため・・・と思ってがんばっています。

余談ですが、ES細胞を世話をしないとどうなるのでしょうか?
ES細胞が勝手に分化して、ES細胞以外の細胞になってしまいます。
そのような細胞は幹細胞に特有の多能性が失われているため、細胞から個体を作り上げることができなくなるのです。
STAP細胞が話題になったのは分化した細胞を簡単に幹細胞へ戻すことができるからでして、もし本当ならば再生医療に関わっていない私にとっても非常にありがたい発見なのですが・・・。
着想自体は素晴らしいので、何らかの形で実用化して欲しいと思っています。

2014年5月27日火曜日

健康第一

2回目のブログなのに、少々辛気くさい話を。

連休明けのことです。
自転車に乗っていた時、急ブレーキをかけたせいで体が前に飛び、手をついた拍子に両腕を骨折してしまいました。
不幸中の幸いか、手首は打撲で済んだので10日程度で治ってきたのですが、腕は未だにちゃんと動きません。「腕をひねる」という動作ができないので、たとえば雑巾を絞るのがとても難しいです。

こうなると、実験がまともにできません。
当初は試薬の入っているビンのフタを開けることもできなかったので、かなり実験が滞ってしまいました。
また、負傷部位を無意識にかばっているのか、少し動くと色々な部位が筋肉痛になってしまいますし、一晩寝ても疲労感が取れません。
キーボードは普通に打てるのですが、打っていると異様に腕が疲れます。
骨がつながるのは2ヶ月くらいかかると医師に言われており、あと2ヶ月もこんな調子なのか?と思うと気が滅入りますね。

研究をするには体力も必要なので、やはり健康であることが一番です!
自転車も気をつけて乗らないと・・・と書いていたところ、先日の健康診断の結果が返ってきました。
総合判定には「要再検査」の文字!・・・早めに病院に行ってきます。

2014年5月1日木曜日

研究助成ブログ、開始です

2014年度の研究助成をいただくことになり、合わせてこのブログを開始いたしました。
どのようなことを書けば良いのかな?と思いますが、やはり助成対象となった研究に関連したことを中心に書いていこうと思います。
時々は脱線するかもしれませんが、温かく見守って下さい。

さて、私の研究テーマですが、平たく言えば「免疫をコントロールする新しい分子を見つけたので、その機能を調べる」ということです。
今さらですが、申請書を作っている時は「まさかこのテーマで採択されることはあるまい」という気分でした。
というのも、新しい分子を見つけることはとても重要なことですが、見つけた後の道のりがハードで、失敗することも多くあるのです。

したがって、このように「さあ、機能のある分子を見つけたぞ!」という段階で私の研究テーマを評価して下さった審査員の先生方は、ベンチャー企業にハイリスク投資するような感覚だったのではないでしょうか?
しかしながら、新しいモノに携わることはエキサイティングでもありますので、みなさまの期待に応えられるよう、がんばります。

次回以降は、この「新しい分子」を見つけたきっかけなどを紹介していきます。
読んでいて、研究体験を共有できるようなブログにしていければいいな、と思っていますので、質問などがありましたら、何でもお気軽にどうぞ。
見つけた分子の名前を教えろ、とか、そういう過激な質問以外でしたら可能な限りお返事いたします!